枯れ枝を くぐる日差しの 湯治宿2023年12月04日 18時45分

目が回るほど忙しかった秋の収穫作業がやっと一段落つきました。
雪が積もる前に温泉に行こうと。
身体の疲れもそうだけど、とにかく頭をクールダウンしたい。
本格的に積もってくれば毎日除雪作業で家を離れることが出来なくなるので、今のうちになんとか一泊だけでもと、思い切って出掛けてきました。
一泊二日のプチ湯治です。

行き先は車で一時間ほどの宮城県鳴子温泉郷。
鳴子、東鳴子、川渡、中山平、鬼首の五つの温泉地から成る鳴子温泉郷。宿泊するのは東鳴子温泉の『初音旅館』。

コロナ前はしょっちゅう鳴子に通っていたのですが、いつも日帰り入浴。
この旅館はなかなか日帰り入浴を受け付けていなくて、入ったことがなかったのです。
一泊五千円弱のアメニティ無し、素泊まり自炊コース。それに冬期暖房のファンヒーターが+700円。

ほんとは朝から宿に入ってひたすらボーッとしていたかったのですが、チェックインは午後三時からとのこと。
なので、どこか立ち寄って時間を潰そうと。

新庄から向かうと一番近いのが中山平温泉。
以前『鳴子らどん温泉』だった宿が『蛇のゆ湯吉』としてリニューアル。
新たに露天風呂も出来たのというので、行ってみました。

らどん温泉だった頃の建物はそのまま。
一段下って自炊湯治専門宿『東蛇の湯』があった場所に新しい露天風呂が。その隣にはオートキャンプサイトも出来ていました。

さっそく浸かった露天風呂。川に面して対岸には広葉樹の茂る山。紅葉の時期が過ぎ、葉っぱはほとんど落ちていたけれど、その時期の見事な景観が想像できます。浴槽もかなり広く開放感は満点、やや緑掛かった硫黄の香るヌルヌルの湯は適温でいつもまでも入っていたくなる感じでした。
暖かい季節なら日帰りでキャンプサイトを借りて、一日温泉に浸かりまくるってのもよさそう。

蛇のゆ湯吉の露天風呂

軽く昼食を済ませ、まだ時間があるので鳴子温泉の温泉街をブラブラ。
平日でもひと目で観光客とわかる老若男女がちらほら歩いています。
日常品を商う昔からのお店が並ぶ通り、スナックや居酒屋がある通り、そして土産物屋が並ぶ駅前、巨大な温泉ホテルが頭上を覆う坂道。その一角にちょこんと建つ共同浴場『滝の湯』。木造の風情ある佇まい。
入る気はなかったのだけれど、時間を持て余してついつい入浴。
丸太をくりぬいたでっかい樋から白濁の硫黄泉がどばどば掛け流されています。
いつ入っても熱いのですが今日は特別熱い。45℃以上は確実にあります。46~47℃くらいあるか?
苦行に耐え、表に出ると番台にいたオバチャンが「今日の熱さは年に数日しかない」なんて言っていた。
キツかったけど満足感でいっぱい。

鳴子といえばこけし

鳴子温泉 滝の湯

しばし車中で読書。火照った身体を冷まし時間を潰す。そして温泉街の惣菜屋で夜の肴を買い込み宿へ向かいます。
にぎやかな鳴子温泉とは異なり、東鳴子温泉は普通の町並みに湯治宿が点在する静かな温泉地。どの宿もかなり年期を感じる佇まい。
宿泊する『初音旅館』は一際年期を感じる鄙びた佇まい。
板張りの廊下は歩く度にギシギシ音がするし、六畳の部屋はくたびれた畳にテーブルとテレビ、まるで古びた下宿部屋みたいな感じ。
頭を真っ白にしてダラダラするにはうってつけです。

さっそく温泉へ。
浴室は三つあるのだけれども大浴場はメンテナンス中で入浴不可。
入れるのは四人くらいは入れるひょうたん風呂と、完全一人用で寝湯みたいな浴槽のお風呂の二つ。
今日の泊まり客は男性だけなので、どちらに入ってもいいとのこと。

まずは小さな一人用のお風呂に浸かり、ダラダラ暗くなるまで読書して、近くの食堂へ出向き夕食。
中華ソバ+半チャーハン。大根の煮物をおまけに付けてくれました。
あー、これで一杯やりたいけれどガマン。できるだけ酒飲んでお風呂に入らないことにしています。死んじゃう人もいるしね。

東鳴子温泉 初音旅館

東鳴子の湯

宿に戻って再び入浴。今度はひょうたん型のお風呂。
東鳴子は茶褐色で油臭の強いお湯が多いけれども、ここのお湯は色が薄く匂いも控えめで、肌触りも優しい感じ。何回入っても飽きないお湯です。
源泉掛け流し、ご主人は湯温の調整にかなり気を遣われている様子。好感が持てます。

お風呂上がって今日の仕上げ、温泉街で買ってきたお刺身とイカメンチで一杯。
夕食の帰りに酒屋で買った純米吟醸酒『天音』というお酒。その酒屋さんのプライベートブランドのよう。
まろやかでやさしい口当たり。なかなかおいしいです。

部屋にテレビはあるけれど、サブスクで何か映画でも観ようとパソコンを持ち込みました。
宿は古いがwifiはバンバン飛んでいるのです。
選んだのは山田洋次監督の『キネマの神様』。
志村けんの急逝で沢田研二が代役を務めた作品です。
山田洋次流のベタな感じがなんとも愛おしい映画でした。
小さな画面で見てもわかるテレビドラマとは違う「映画」な感じがとてもよかったです。

湯治宿の自炊飯

朝、夜明けと共に目を覚まし温泉へ。
朝から絶妙な湯温です。心地よい温泉の匂いに包まれて浴室が明るくなっていきます。
朝食は自炊。といってもご飯を炊くだけ。自作の温泉卵とイワシの缶詰、フリーズドライの味噌汁。
食後にコーヒーをいただきながら読書。
そして最後の入浴。東鳴子感を残しながら何度でも入りたいやさしいお湯。あ~もう二泊くらいしたい・・・・。

後ろ髪を引かれながら宿を出ます。
帰る前に『あら伊達な道の駅』まで足を伸ばしてみます。
こちらもコロナ以来の来訪です。人気の道の駅だけあって平日でも相変わらずの人出です。
お土産に鳴子の地ビールと例のチョコレートを買って再び鳴子方面へ。
帰る前にもう一湯。
中山平、鳴子、東鳴子とくれば、やっぱり川渡温泉にも入らねば。
ということで川渡温泉『藤島旅館』へ。
歴史を重ねた木造の日本家屋。大浴場へと続く廊下も湯治場風情漂って雰囲気盛り上げます。
そして広い浴室の大きな窓からは庭園の紅葉が望めます。
緑色の硫黄香る湯には黒いヒジキのような湯の花が舞っています。
上がったあとは隣接する日本庭園でぼーっと池の鯉でも眺めながら身体を冷まします。

川渡温泉 藤島旅館

これにて一泊二日の短すぎる湯治終了です。
雪が積もれば毎日除雪で泊まりでは来られないし、春から秋は忙しくてそんな時間は取れないし・・・・。
でも、頭をクールダウンするために、なんとか時間を作って年に何度か泊まりで来たいものです。


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