日本人の牛乳事情2007年09月10日 20時46分

 『日本の牛乳はなぜまずいのか』
 平澤正夫/草思社

先日読んだ『自主独立農民という仕事』に関連して読んでみました。
日本の酪農・乳業の先駆者で、『自主独立~』の木次乳業を指導した藤江才介氏の一代記。そして日本の牛乳事情の年代記。
日本の牛乳のほとんどが130℃2分の超高温滅菌法で殺菌したもの。
しかし世界的には63℃30分、75℃15分の低温殺菌法(パスチャライズ)が主流。
なぜ日本の牛乳が特殊なのかといった事情がよくわかる。

確かに飲み比べてみると風味が違う。パスチャライズ牛乳は美味しい。
しかし、「日本の牛乳は焦げ臭い」と書かれているが、毎日何年も飲まされているので、まったく感じない。美味いとは思わないが、不味いとも思わない。
残念ながら、私を含めて日本人は美味しさで牛乳を選ばない。というか、牛乳を選ぶという感覚もないのではないだろうか。
子供のころから毎日欠かさず与えられ続け、無意識のうちに毎日牛乳を飲むということをすり込まれていて、美味しいとか不味いとか考えずに、漠然と牛乳は体に良いらしいと思いこんで飲んでいる。超高温滅菌と低温殺菌がどう違うかなんて気にしもしない。
「すり込み」もあるが、牛乳を飲むことがまだ食文化として消化されていないこともあるのだろう。
パスチャライズ牛乳が生産現場も含めて、一般的になるにはかなりの時間が掛かりそうだ。

いままでパスチャライズ牛乳は単に殺菌方法の違いとの認識しかなかった。しかし読んでみて、パス乳にするために酪農の現場では通常の何倍もの労力や細かな気配りが必要なことを初めて知った。
こういった現場の努力があることを消費者にも知って欲しい。

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