農家はどうなる?農協は?2007年05月22日 20時13分

 『農の戦犯 誰が農業をダメにしたのか』
 シーザー前園/文芸社

なぜ日本の農業は衰退したのか。東北・北信越の農村での取材の中から見えてきた日本の農業の問題点。
帯の文句「後継者?いるわけないよ 誰も田んぼをやめないんだから」。
なるほど。70歳くらいで有機農業に取り組んでいる方々を見て、オレもあんなふうになりたいな。とか思ったけれど、考えてみれば彼らの息子たちは会社勤めで、すでに責任のある役職に就いている。もし彼らが農業を継ぐとしたら、退職後の趣味の農業みたいな感じでしかないだろうな。結局職業としての農業は継承されない。
高齢化社会とはいえ、年寄りが頑張りすぎるのも問題ありだな。

指摘されている問題点は先日読んだ『日本の食と農 危機の本質』の中でも指摘されている。
学者が書いた『日本の食と農』にくらべて、こちらは現地での取材による生々しい現場の姿がリアルに語られるので、わかりやすい。
それにしても・・・筆者は幼少期に農村で虐待でも受けたのかと勘ぐりたくなるほど徹底的に否定的な語り口にはちょっと引いた。

都市住民向けの「農村交流会」では絶対聞けない農村の実態。
農村に移住を考えている人にもお勧め。
ただし、読んでも引かないでね。

コメント

_ 円左衛門 ― 2007年10月22日 22時51分

◆初めまして、落語家の三遊亭円左衛門と申します。

◆この度はぶしつけで申し訳有りませんが、何点か今の農業について質問をさせて頂きたいと思います。

◆最近江戸の野菜について勉強を始めました。そのうちに、だんだんと今の野菜、農業にも関心を持つようになりました。

◆そのきっかけは江戸で盛んに行われた人糞肥料です。当時の江戸周りの農家は、長屋の大家などに金品を払って糞尿を分けて貰い、畑に運んでゆきました。それほど人糞を大切な肥料としていたようです。

◆今で言うところの有機肥料というやつだと思うのです。そのせいでしょうか、だいたいこのやり方を、江戸評論家諸氏は「完璧なリサイクル社会」とするようです。

◆確かに街のクリーンな状態は当時のパリとかに比べると格段に良かったのかも知れません。が、僕はどうしても引っかかるのです。「なぜ、そんな臭い、汚いものを宝のようにしてまで、畑に撒かないといけないのか?」

◆江戸は当時世界一の人口密集地でした。その多くの人の需要に応えるためには、そうとうな効率の良い農業を展開しないことには間に合わなかったのではないか?あるいは、人の多さを見込んで農家の数も多くなり、過当競争状態だったのではないか?

◆ひと夏の間、高原野菜を作るアルバイトをしたことがありました。地元の農家の方が言うのです。「有機栽培と言っても、消毒は必ずやるんだから、変わりゃしないんだよ」と。

◆生産効率を求めると、どうしても肥料を使わざるをえない。肥料を使うと虫が付きやすい、病気にかかりやすい。それを止めるために農薬を使うようになる。

◆さて、前置きが長くなりましたが、ここからが肝心な質問です。

1、病気になりやすい、虫が付きやすい野菜(有機栽培を含め)を健康と見ていいのでしょうか?
2、無肥料、無農薬栽培は片寄った考えでしょうか?
3、よーすけどんは、今の農業について何が不安であり、不満ですか?
4、農協は農家に重くのしかかる存在でしょうか?

◆以上、お答えを頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

_ anonymous ― 2007年10月23日 21時09分

> 円左衛門 さん

どうも、はじめまして。よーすけどんです。
電気繋がりですね。

まず肥料について、当時は化学肥料なんてないので、当然有機肥料になります。
植物の栄養分は有機物が発酵(腐敗)分解したものです。
脂を搾ったあとの魚粕なんかも良質の肥料となったようですが、かなり高かったようです。
牛馬の堆肥も今ほど多くはなかったでしょうから、人糞が、とくに都市周辺では安く大量に手に入るうってつけの肥料だったのでしょう。

「生産効率を求めると、どうしても肥料を使わざるをえない。」という点ですが、
自然の植物は肥料を与えないでも育つ、という人もいますが、自然の植物は種の保存のためだけにその体を維持しているだけで、人間が採取して食べるということは勘定に入っていません。
生産効率というよりは植物の種を残した上でかつ人間様がその体をいただくということになれば、肥料を与えてより多くの収穫を得なければ勘定が合わないのではないでしょうか。
まあ、農家がそれを生業にしていくって部分も含めてですけど。

それでは質問にお答えします。

1、病気になりやすい、虫が付きやすい野菜(有機栽培を含め)を健康と見ていいのでしょうか?

畑作の場合は同じ種類の作物ばかり大量に作付けしたり、何年も同じ圃場で同じ作物を栽培したり(連作障害)すると病害虫が発生しやすくなります。作物が必要とする以上の肥料投入も作物を軟弱にし病気に弱くなる原因となります。
ただし、病気になりやすい、虫が付きやすいというのは品種の違いにもよりますし、毎年の気候条件でも変わってきます。
たとえば家で作っているお米でいうと、ササニシキはとてもデリケートな品種で、ほかの品種よりイモチ病にかかりやすい稲です。あきたこまちは登熟時期、その籾の形状などから健康うんぬんとは関係なく、どうしてもカメムシの被害に遭ってしまいます。
病害虫が付きやすいから不健康とは、一概には言えないと思います。


2、無肥料、無農薬栽培は片寄った考えでしょうか?

これはどの方向から見るかで変わってきますね。
見方を変えれば農薬・化学肥料を多用した栽培も偏った考えといえなくもないと思います。


3、よーすけどんは、今の農業について何が不安であり、不満ですか?

ないです。ん?あるかな?ないんじゃないかな。
ないこともないかもしれないけれど、そんなに深刻には考えていません。だって、日本の農業が崩壊しても、一番困らないのが農家なんですよ。
このブログを見ていてもらえれば、そういった部分も見えてくるかもしれません。

4、農協は農家に重くのしかかる存在でしょうか?

付き合い方次第です。
メリットがある部分では農協を利用すればいいし、デメリットだと思う部分ではほかを利用すればいい。

_ 円左衛門 ― 2007年10月24日 23時32分

ご丁寧にお答えを頂きましてありがとうございました。
ブログもあらかた拝見させていただき、色々勉強させていただきました。
山形は米所で当然美味しい地酒。初孫、出羽桜。ベタですいません。
でも・・二日酔いの時のカレーライスはどうかなぁ?

_ よーすけどん ― 2007年10月25日 18時53分

> 円左衛門さん
> 山形は米所で当然美味しい地酒。

そうです。日本酒です。
一番のお気に入りは「羽陽男山」。
きょうもこれから・・・。

> 二日酔いの時のカレーライス

これはもはや条件反射です。
一度おためしあれ。

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