温泉に入って、映画を観た2011年12月18日 19時28分

友人のFacebookをチェックしていたら、なんと肘折温泉で見逃していたドキュメンタリー映画『よみがえりのレシピ』を上映するという。
温泉と映画!これは何があっても行かずばなるまい。

一人で行くのも後ろめたく、旅館の部屋を日帰りで借りて、オクサンと娘は私が映画を観ている間、そこでのんびりしてもらおうと目論んだ。

朝、家を出るときは少し雪模様。しかし、大蔵村に入り、だんだんと肘折温泉に近づくにしたがって尋常じゃないほどの雪模様になっていく。
さらに道路はまだ除雪の途中。1.5車線ほどの狭さで、対向車が来たら譲り合わなければならない状態。こんなんでたどり着けるのか。

たどり着けた。部屋を借りたのは『三浦屋旅館』。この夏にちょっと日帰りでお風呂を借りた、木造の鄙びた湯治宿だ。
通されたのは一階の湯治部屋。隣との仕切りはふすま。廊下との仕切りは障子という、昔ながらの作り。すでにファンヒーターで部屋は暖かく、6畳の真ん中にコタツが据え付けられている。完璧。

昼食の前にさっそくご入浴。前回は入らなかった家族風呂へ。
こちらは2号源泉を使う男女別のお風呂とは違って、3,4号源泉を使用。
濁りはあまりなく、臭いも弱め、ほんのり塩味。サッパリした入り心地。
ただ、子供も入るので、だいぶ加水してぬるめたため、そんな感じになったのかも。
ともあれジックリ浸かったので、かなり温まり&汗。
部屋に戻ってダラダラしていると昼食のうどんが運ばれてきた。
乾燥麺を使った、素朴な家庭料理風のうどん。意外とボリュームがありけっこう腹一杯&また汗。

昼食後、いざ妻子を残し映画が上映される『肘折いでゆ館』へ。
この映画、なぜ観たかったかというと山形県内の在来野菜を扱った映画ということもあったけれども、監督の渡辺智史氏は大好きな映画『湯の里ひじおり-学校のある最後の一年』を撮った監督だったからだ。
オープニング、雪深い風景に老人のしゃがれた声の語りが被さる。う~たまらん。
大量生産、大量流通の波に乗れずに消え去ろうとしている、その土地々々に根ざした在来野菜たち。その種を受け継ぎ、次へ繋げていこうとする人々の営みが描かれる。
それは単に種を受け継ぐということだけではなく、その土地の文化や歴史を継承していくことでもある。
「この種を無くしてしまいたくない」。作品中で語られたこの一言がすべての出発点であり、終着点なのかもしれない。
大量流通の方法論に乗り「広げ」て行く方向ではなく、深く「掘り下げる」方向に進むべきと強く感じた。
ただ・・・その行き着く先がどうしても奥田シェフになってしまうため、そこから先どうしたらいいの?と思ってしまう。
年に一度食べる特別な料理よりも、家庭の主婦が普通に取り組めるレシピも必要なんじゃないだろうか。土地に根ざした文化や歴史を繋げていくという意味でも。

小さなイベントスペースでの上映会であったが、意外と映像が綺麗でビックリした。
上映終了後に渡辺監督と、作中に登場する「甚五右ヱ門芋」のS藤君のトークショー。帰りに甚五右ヱ門芋を使ったアイスクリームをごちそうになったが、とろりとした粘りと深いコクがあり、とても美味しかった。

さて、会場はそのままクリスマス・パーティーになだれこんでいたが、暗くなる前に宿をチェックアウトしなければ。
外はまだ雪。宿に帰った頃にはすっかり体が冷え切ってしまっていた。
娘は部屋の中を元気いっぱい走り回っていたが、オクサンは娘の相手でグッタリ。一日のんびりとは行かなかったようだ。
出発前にひとっ風呂。
今度は玄関脇にある男湯に入浴。こちらは2号源泉使用で、底が見えないくらいの濁り具合。柔らかい感触に金気臭。気持ちイイ。
午後4時にチェックアウト。宿の方が「もっとのんびりしていったらいいのに」といってくださったが、これ以上居ると泊まりたくなってしまう。未練を断ち切って帰途についた。
今夜は温泉に泊まった夢を見ながら寝よう。

http://www.y-recipe.net/

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